研究課題/領域番号 |
15591271
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 憲司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30247928)
|
研究分担者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (80238914)
鈴木 実 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (00319724)
|
キーワード | 乳癌 / 放射線治療 / 細胞周期 / 抗HER2抗体 / c-erb B-2 / 化学放射線療法 |
研究概要 |
今回の実験はKPL-4乳癌細胞を用いて行った。この細胞のHER2蛋白発現は免疫組織化学法とwestern blotting法を用いて確認している。培養には10%FCSを添加したDMEM培地を用いた。細胞周期分析はpropidium iodide(PI)にて染色後にflow cytometryを用い、解析ソフトはModFit LTを使用した。抗HER2抗体および放射線(γ線)の殺細胞効果はコロニー形成法を用いて求めた。 抗HER2抗体200μg/ml存在下の培養液で72時間処理後に放射線照射を行ったとき、細胞の生残率は通常条件で72時間培養後と全く相違がなかった。この時、抗HER2抗体存在下と非存在下で細胞周期に違いは認めなかった。しかし、ホルモン非含有のFCS添加培養液による前処理によって細胞増殖抑制を行い、その後に抗HER2抗体存在下で72時間培養した場合には細胞周期は抗HER2抗体の濃度に依存した変化が認められた。即ち、抗HER2抗体存在下では非存在下と比較してG0/G1細胞の割合が有意に増加していた。ホルモン非含有FCSによる前処理を施行した細胞は抗HER2抗体(200μg/ml)によってコロニー形成能の抑制を認めた。さらに、前処理後に抗HER2抗体存在下で培養後の細胞に放射線照射を施行したときには相加的殺細胞効果が認められた。 このように、今回用いたKPL-4細胞はHER2蛋白を高発現している細胞であるが、in vitroでの抗HER2抗体の抗腫瘍細胞効果は細胞増殖を抑制した条件のみに限定され、放射線との併用は相加効果を示すことを確認した。 現在、照射後に抗HER2抗体存在下で培養したときの抗腫瘍細胞効果を確認中であり、近日中に結果が得られる。今後、ホルモン非含有FCSによる細胞増殖抑制や化学薬品による細胞周期同調が、放射線照射後の抗HER2抗体の処理に影響を及ぼす否かを検討する予定である。
|