研究課題
実験にはKPL-4乳癌細胞(HER2高発現細胞)を用いて行った。抗HER2抗体はtrastuzumabを使用した。16年度までにKPL-4細胞はtrastuzumab単独では細胞周期に変化は認められず、γ線の感受性にも影響を及ぼさないことを確認した。しかし、予めにホルモン非含有処理をした1%dextran coated charcoal-treated fetal bovine serum(DCC-FBS)を添加して培養した細胞を用いると、trastuzumabで72時間処理すると細胞増殖が抑制されG0/G1細胞が増加し、さらにこの現象はtrastuzumabの量に依存することが確認できた。trastuzumab(200μg/ml)で処理した細胞はγ線照射を行うと相加効果があることが判った。17年度は照射後にもtrastuzumab処理を行いγ線の抗腫瘍効果に影響を及ぼすか否かについて検討を行ったが、感受性には影響を及ぼさなかった。現在、16年度-17年度のtrastuzumabの細胞周期への影響とγ線感受性の変化について、近々投稿する予定である。また、17年度はtrastuzumabと中性子線の関連についての基礎実験を行った。トランスフェリン・リポソームにtrastuzumabを結合させたイムノリポソームを作成した。このイムノリポソーム内に硼素化合物を封入させ、KPL-4細胞を大腿皮下に移植した雌のBALB/c nu/nuマウスに投与した。即発γ線分析を用いて硼素濃度を測定したところ、血中硼素濃度は長期間で維持され、腫瘍内でも高濃度を維持できることが確認された。trastuzumabを結合させたイムノリポソームは高HER2発現細胞に対するドラッグ・デリバリー・システムとして有用であることが確認できた。今後、硼素化合物を用いた中性子捕捉療法や化学療法への有効性についてさらに検討していく予定である。
すべて 2006 2005
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