研究課題
基盤研究(C)
平成16年度までにHER2/neu蛋白を高発現しているKPL-4細胞を用いたin vitroの実験を行い、抗HER2抗体によって細胞増殖が抑制されたときのみに、放射線照射併用の相加効果が発現することを確認した。即ち、抗HER2抗体は細胞増殖抑制効果が出現しない条件では放射線照射の殺細胞効果に影響を及ぼさなかった。平成17年度は抗HER2抗体と放射線治療の併用という研究をさらに進めて施行した。硼素化合物を封入した抗HER2抗体を結合させたイムノリポソームを用いたとき、硼素中性子捕捉療法におけるドラッグデリバリーシステム(DDS)に有用であるか否かを検討した。BALB/c nu/nuマウスの大腿皮下にKPL-4細胞を移植し、腫瘍径が1cmに達した時点で実験に用いた。硼素化合物であるsodium mercaptoundecahydrododecaborate(BSH)を封入した抗HER2抗体イムノリポソームを尾静脈より投与した。先ず、BSH(100mg/kg)投与24、48、72、96時間後に腫瘍あるいは正常組織を摘出し、即発γ線分析を用いて組織内硼素濃度を求めた。BSH単独では投与24時間後には腫瘍内硼素濃度は測定限界以下になるのに対して、PEG-リポソームを用いた場合には24時間後に18.3μg/gで最大となり、48、96時間後においても各々17.8、4.9μg/gとなった。PEG-リポソームを用いることによって腫瘍内の硼素濃度を長時間維持出来ることが確認できた。さらに抗HER2抗体イムノリポソームを用いた場合には投与48時間後に最大となり25.2μg/gとなった。さらに96時間後でも5.5μg/gと硼素濃度をさらに維持できることが確認できた。実際に投与48時間後に中性子照射を施行すると軽度ではあるが抗腫瘍増殖抑制効果が得られることを確認した。以上のように、抗HER2抗体イムノリポソームによるDDSを用いることで腫瘍内硼素濃度を数日間持続させることができ、その間に硼素中性子捕捉療法を繰り返し施行することが可能となり、抗腫瘍効果を増強させること示唆させる結果が得られた。
すべて 2006 2005
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