研究課題/領域番号 |
15591272
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大屋 夏生 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70281095)
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研究分担者 |
平岡 真寛 熊本大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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キーワード | 放射線治療 / 乳癌 / 放射線性皮膚炎 / 急性反応 / コメットアッセイ / リンパ球 / 正常組織放射線感受性 / 放射線感受性予測 |
研究概要 |
放射線治療を施行した乳癌患者(約1500人)中、50人程度が患者の体質に由来するgrade 2の放射線性皮膚炎に該当すると判定された。そのうち、インフォームドコンセントが得られた29人から、末梢リンパ血を採取した(皮膚炎群)。さらに患者背景因子、治療因子をマッチングさせた、皮膚炎のない34人から、末梢リンパ球を採取した(コントロール群)。両群の患者背景、治療因子を解析したところ、年齢、閉経の前後、治療時期、病期、放射線治療に関連するパラメーター、併用療法の方法などにおいて、両群の間に有意な偏りは見られず、固有の放射線感受性以外の因子の影響が極力排除された2集団と判断された。 採取された末梢リンパ球は、「コメット法によるリンパ球放射線感受性・DNA修復能アッセイ」に供された。リンパ球は24時間培養された後、インビトロで12Gy照射され、照射直後から照射後180分まで経時的に、コメットアッセイにてDNA一重鎖の切断を定量した。各検体(患者)ごとに「照射後時間-テールモーメント」曲線を描き、この曲線をもとに、検体ごとの(1)DNAの初期損傷の程度(照射直後のテールモーメント)、(2)DNA損傷の修復の完成度(照射後3時間のテールモーメント)、(3)DNA損傷の修復のスピード(テールモーメントが初期値の半分になるのに必要な時間)、(4)DNA修復の全体量(テールモーメントが描く曲線の積分値)の4種のパラメーターを解析した。上記の(1)(2)(4)においては両群間に有意な差は見られず、(3)については、皮膚炎群において有意に延長していることが示された。以上より、末梢リンパ球のコメットアッセイは、放射線皮膚炎の発生の予測に応用できる可能性が示唆された。
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