研究課題/領域番号 |
15591274
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥 直彦 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (40346193)
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研究分担者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
北川 一夫 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301257)
村瀬 研也 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50157773)
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キーワード | 軽度認知障害 / 脳血流SPECT / フラクタル解析 / Tc-99m HMPAO / 画像診断 / 痴呆疾患 |
研究概要 |
研究者らは本年度の初期に、ワークステーション上で脳血流SPECT画像を解析するソフトウェアとして機能的三次元フラクタル解析法を完成させた。このソフトウェアを使用し、研究者らはまず脳血管性痴呆患者で脳血流分布のフラクタル次元(FD)が正常者に比較して高い、すなわち脳血流分布の不均一性が高いことを見いだした。さらにこれらの患者では脳血流分布の不均一性が脳の前部で高いことが推定され、脳の前後で別個にフラクタル次元を求められるよう解析ソフトを改良した。その結果痴呆の二大原因である脳血管性痴呆とアルツハイマー病では脳前後部間でも脳血流不均一度がそれぞれ異なることがわかり、鑑別診断に応用可能であることが示された。これらの結果は本年度欧文雑誌に発表した。 記銘力障害が軽微である軽度認知障害(MCI)の患者は14名が見出されて検査され、18名の同年代健常者と比較した。MCI患者の脳血流SPECT画像は視覚的に評価すると前頭葉がわずかに低血流を示すか、全体的に斑状のわずかな血流低下部位が認められたが健常者と区別することは困難であった。一方、健常者ではFD値が0.853±0.062(平均値±標準偏差)であったのに対し、MCI患者ではFD値は1.071±0.194と有意に(p=0.001)高い数値をとることが明らかとなった。この結果は脳血流SPECTの視覚的な診断ではとらえにくいMCIの脳血流分布異常をフラクタル解析法が敏感に検出したことを意味している。FD=0.92未満を正常とするとFD値を用いて感度78%、特異度83%でMCIを検出できることが判明し、フラクタル解析法がMCIの画像診断として有用であることが示された。この研究成果は第43回日本核医学会総会にて発表した。
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