研究分担者 |
守殿 貞夫 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30030935)
藤井 正彦 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (00228959)
杉村 和朗 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00136384)
黒田 輝 東海大学, 電子情報学部, 助教授 (70205243)
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研究概要 |
平成15年度は、前立腺癌と診断され手術が予定されている未治療患者に対し,本研究の目的,意義,危険性などについて文書を用いて説明し,5名でボランティア協力の同意が得られた.この5名を対象として,超高磁場(3テスラ)MR装置(Signa VH/I 3.0T)を用いて,前立腺MRI撮像,proton MR spectroscopy(MRS)測定を行った.検査プロトコル通りにMRIの撮像を行ったところ,5名中4名では前立腺生検後の影響と考えられる血腫の残存が確認された.引き続きMRSの測定準備に入ったが,血腫にはヘモグロビンの分解産物であるヘモジデリンが存在するために,前立腺内の帯磁率の差が顕著となり(磁化率効果),厳密なシミングを行っても磁場の均一性を保つことは困難であった.そのままの状態でMRS測定を施行したが,均一な磁場が得られていないために,ノイズの多いスペクトルしか得ることができず,代謝産物の解析は困難であった.5名のボランティアはその後前立腺全摘除術を受けたが,術後の病理標本とMRI所見を対比させてみると,MRIについても血腫の影響が強く、癌病巣と血腫を完全には区別できず,腫瘍体積の推定も困難であった.ただし,血腫や癌が存在しない健常部分については,前立腺内の導管構造が詳細に描出されており,一般臨床で用いられている1.5テスラMR装置の画像よりも格段に細かい構造の評価が可能と考えられた.平成16年度は,できるだけ生検前の状態のボランティアを集めて,前立腺内に血腫が存在しない状態でのMRI・MRSデータを解析するとともに,仮に前立腺内に血腫が存在する場合でも,影響を最小限に押さえるシミングの方法とMRS測定方法を試みる予定である.
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