研究概要 |
温熱療法と放射線療法の併用による効果増強の機構を分子・遺伝子レベルで解析するため次の点から検討を加えた。 1 ヒト口腔癌細胞での細胞周期調節遺伝子14-3-3-σ及びcdc-2遺伝子の役割;実験に温熱に感受性の高い細胞と抵抗性の細胞を用い、14-3-3-σ遺伝子の発現の大きさと細胞分裂遅延の大きさをフローサイトメトリーで測定し、温熱処理後のG2-blockの解除とcdc-2,rリン酸化cdc-2の発現の時間的経過を測定し、温熱による細胞傷害の大きさと細胞分裂遅延時間に相関があること,綱胞周期のG2期へ細胞が蓄積するとcdg-2遺伝子が減少し,リン酸化されたcdc-2-pが蓄積することが明かとなった。 2 温熱により引き起こされる細胞死アポトーシス;細胞の温熱による感受性を化合物セファランチンは増感する。また、in vivoでも腫瘍内へセファランチンを直接投与することにより温熱効果を増強する。この原因の一つとして温熱によるアポトーシスの誘導がセファランチンにより増強すること明らかにした。 3 温熱耐性の発現機構に関する研究;温熱耐性に関与すると考えられる熱ショックタンパク質の発現を観察した。温熱に感受性の高い細胞は加温後HSPの誘導が大きく,耐性の細胞ではHSPの発現の変動は少なかった。化合物KNK437はHSPの誘導を抑制し、感受性の細胞での抑制はより大きかった。 4 温熱による画内攻蔵の変化に関する研究;染色体を構成する核蛋白質が温熱による変化することが考えられ、核蛋白の一つヒストンの温熱による変動を監察した。ヒストンH3の修飾を検討するためにアセチレーションとメチレーションを観察した。ヒストンのメチレーションが温熱により影響され、その変化をKNK437が大きく影響することを明らかにした。
|