研究課題
温熱に対する細胞応答としてのHSP遺伝子の発現温熱にともない細胞応答の主なものとしてHeat Shock Protein (HSPs)の発現が認められた。HSPの中でもHSP27、HSP40、HSP70、HSP90の発現を測定し、温熱感受性の異なる2種類の細胞間でその応答が大きく異なる。細胞の温熱感受性とHSPとの関連が示唆され、今後より詳細に検討していく必要がある。また、諸家の報告によればKNK437はHSPの発現を抑制するとされているが、本研究によりKNK437はHSP90、HSP70の発現抑制よりはHSP40、HSP27の発現がより大きく抑制されることを明らかにした。温熱に対する細胞応答としてのヒストン蛋白質の構造変化温熱による細胞傷害の標的は何かとの疑問は明確にされていない。この点を明確にするためにヒストン構造の温熱による変動を観察した。放射線によりヒストンH2aXのリン酸化が注目されているが、温熱によりH2aXのリン酸化が引き起こされるが、我々は初めてヒストンH3の構造変化が引き起こされることを明らかにした。H3のリジン4のメチル化、リジン9のメチル化が誘導されることを明らかにした。ヒストンのアセチル化は引き起こされていない。リジン4のメチル化の発現は細胞内遺伝子の活性化につながると考えられているが、このメチル化はKNK437により抑制されることが明らかとなった。温熱によるヒストンのメチル化は細胞応答としてHSPs誘導の上流に位置すると考えられ、温熱により細胞傷害の中でもヒストンH3のメチル化の変動が引き起こされ細胞核の核構造の変化が引き起こされていると考えられる。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (5件)
Int J Oncol 26(5)
ページ: 1291-1300
Cancer Chemother Pharmacol. 56(1)
ページ: 22-28
Int J Oncol. 26(4)
ページ: 853-862
Int J Hyperthermia (in press)
JPN J Hyperthermic Oncology (in press)