研究課題
基盤研究(C)
1 温熱・放射線による細胞周期乱れと14-3-3σ遺伝子、cdc-2遺伝子,cdc25遺伝子の関連温熱により細胞分裂遅延が引き起こされG2ブロックが起きG2期細胞が蓄積する。細胞の蓄積にcdc2の減少、cdc25-Pの増加が認められ、分裂遅延解除に伴いcdc2の増加、cdc25-Pの減少が認められた。細胞の種類により14-3-3σ遺伝子の発現も異なり、分裂遅延時間に関与していることを明らかにした。2 培養ヒト癌細胞での同調培養系の確立HSC4細胞において培養条件(血清濃度の問題、培養時間の検討並びにHydroxyureaの濃度と処理時間)を検討することにより培養下で90%近いS期細胞集団を得ることができた。また、この方法により得られた同調細胞を用い温熱に対して細胞周期依存性が得ることができた。細胞周期にともなう温熱・放射線感受性の細胞周期依存性の遺伝子発現機序を明らかにする上で有用な手段となると考えられる。3 加温後のアポトーシスの発現を観察するに有用な培養細胞系の確立温熱による細胞傷害の中で細胞自身が判断し、死に至らしめるアポトーシスの減少がある。この機構は細胞の温熱感受性を表す指標として注目されている。アポトーシスを顕微鏡下で観察可能のするため黄色蛍光発光ベクターを細胞核内に局在する細胞株を樹立した。Fasにより誘導されるアポトーシスに先だって起きる核内変化(クロマチンの変化)を顕微鏡下で3次元的に観察することができた。この細胞の樹立は今後の温熱による細胞応答の研究に有用な手段になると考えられる。4 温熱に対する細胞応答としてのHSP遺伝子の発現温熱にともない細胞応答の主なものとしてHeat Shock Protein(HSPs)の発現が認められた。HSPの中でもHSP27、HSP40、HSP70、HSP90の発現を測定し、温熱感受性の異なる2種類の細胞間でその応答が大きく異なる。細胞の温熱感受性とHSPとの関連が示唆され、今後より詳細に検討していく必要がある。また、諸家の報告によればKNK437はHSPの発現を抑制するとされているが、本研究によりKNK437はHSP90、HSP70の発現抑制よりはHSP40、HSP27の発現がより大きく抑制されることを明らかにした。5 温熱に対する細胞応答としてのピストン蛋白質の構造変化温熱による細胞傷害の標的は何かとの疑問は明確にされていない。この点を明確にするためにピストン構造の温熱による変動を観察した。放射線によりヒストンH2aXのリン酸化が注目されているが、温熱によりH2aXのリン酸化が引き起こされるが、我々は初めてヒストンH3の構造変化が引き起こされることを明らかにした。H3のリジン4のメチル化、リジン9のメチル化が誘導されることを明らかにした。ピストンのアセチル化は引き起こされていない。リジン4のメチル化の発現は細胞内遺伝子の活性化につながると考えられているが、このメチル化はKNK437により抑制されることが明らかとなった。温熱によるピストンのメチル化は細胞応答としてHSPs誘導の上流に位置すると考えられ、温熱により細胞傷害の中でもピストンH3のメチル化の変動が引き起こされ細胞核の核構造の変化が引き起こされていると考えられる。
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