研究概要 |
サイバーナイフにて呼吸同期照射を行うには、ひとつの方法として、患者に自発的に息止めをしてもらい、その間に照射する息止め照射法があるが、息止めの状態は患者自身にまかせられており、精度が不十分であった。 そこで、我々は、サイバーナイフおよび通常のリニアックでも使用可能な、簡易型呼吸同期補助装置を作成し、息止め法での精度を検証した。 1.平成15年度に、Class II可視光半導体レーザーおよび受光板よりなる簡易型呼吸同期補助装置を開発した。平成16年度には、光源部のレーザー発生装置を現行の径20X長さ50mmより、径10x長さ20mm程度の小型のものに改良した。 2.本呼吸同期装置の精度検証のために、キーエンス社製高精度画像処理システムXV-1000を用いて画像処理システムを構築した。XV-1000は、30万画素のCCDカメラを備え、任意の像を認識し、その位置等を正確に検出できる。本研究においては、腹壁上に設置した目印の形状をXV-1000のCCDカメラにて認識させ、腹壁の動きを計測するプログラムを開発した。まず、XV-1000の位置検出精度は0.02mm程度であることを確認し、XV-1000が腹壁の動きを0.1mm以下の精度で検出できることを確認した。 3.上記1,2で完成させた呼吸同期装置およびその検証システムを用いて、正常ボランティア5名にて呼吸停止を行い、呼吸同期補助装置の有用性を検討した。呼吸同期補助装置がない場合、胸腹壁の停止位置の偏位は、安静呼気息止めが最も少なかったが、安静吸気、最大吸気息止めでは停止位置の偏位は特に腹壁で大きかった。一方、呼吸同期補助装置を装着した場合、安静呼気時、安静吸気時とも停止位置はほぼ5mm以内に安定した。しかし、最大吸気息止めでは、効果は不十分であった。 以上から、呼吸同期補助装置は、安静呼気、安静吸気息止めにて有用であることが判明した。
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