研究概要 |
本研究は、頭蓋内及び体幹部の定位放射線照射の高精度な線量評価の確立を目指して、蛍光ガラス線量計を利用した定位放射線手術Stereotactic Radiosurgery (SRS)及び定位放射線治療Stereotactic Radiotherapy (SRT)の極小照射野の高精度な線量評価を行うことを目的とする。本研究において、以下の点を明らかにした。 1.蛍光ガラスロッド線量計(Grass rod dosimeter, GRD)の物理特性とその応用 GRDの放射線治療領域における線量評価への応用を目指して、GRDのエネルギー特性、再現性、線量直線性、方向依存性などの物理特性を評価した。これらの結果から、GRDは放射線治療領域の線量評価の新しい有用な検出器として応用できることを明らかにした。また、実際の治療装置の線量測定に応用し、その有用性を明らかにした。 2.リニアック装置、ガンマナイフ装置の極小照射野の出力係数と線量プロファイルの測定 蛍光ガラス平板素子(Glass plate dosimeter : GPD,30mm長さ×30mm幅×1mm厚)を作成し、その蛍光読取装置を旭テクノグラス(株)と共同開発した。本GPDシステムは、他の検出器と異なり、出力線量と線量プロファイルが同時に読み取れる特徴をもつ。本線量計を用いて、リニアックによる極小照射野、及びガンマナイフの出力測定と線量プロファイルの測定を行った。いろいろな固体検出器やフィルムとの比較、さらにEGSnrc (BEAM code)モンテカルロ計算との比較から、GPDシステムの有用性について検証した。本研究成果から、開発したGPDは、定位放射線照射の高精度な線量評価に有用な検出器であることが明らかになった。 3.研究総括と今後の研究課題 本研究において、蛍光ガラス線量計を用いた定位放射線照射の高精度な線量評価の確立を行った。今後の研究課題としては、近い将来フィルムレスになることが予想され、フィルムに代わる検出器として、蛍光ガラス平板線量計システムを強度変調放射線治療(IMRT)の線量評価に応用することである。
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