研究概要 |
1999年4月から2003年12月の期間において回転DSA3次元再構成画像(3D-DSA)を施行後に,瘤内塞栓術を行った脳動脈瘤症例85例を対象に,動脈瘤の3D-DSA所見と塞栓術直後の瘤の閉塞率を対比検討した.DSA装置はGE社製LCN-plusを,WorkstationはAdvantage Windowを用いた。検討因子は動脈瘤の部位、最大径、ネックサイズ、ドームネック比(DNR)、動脈瘤の形状、近接分枝との関係である。結果:塞栓術直後の瘤の閉塞率は完全閉塞28例,ネック残存27例,不完全閉塞30例であった,X^2検定では塞栓率に影響を与える因子として,ネックサイズ、ドームネック比、近接分枝との関係(p<0.01,p=0.02,p<0.01)が有意に相関していた.部位、最大径,動脈瘤の形状の3因子については有意差な相関は見られなかった.ステップワイズ回帰では塞栓率の予測に有効な因子としてこのうちドームネック比、近接分枝との関係の両者が抽出された.よって動脈瘤の閉塞率を予測するscoring systemとしてDifficulty scoreをDNRと近接分枝との関係の両者を用いて作成した.DNR Score : DNR>1.5,0;DNR1,2-1.5,1;すなわち,DNR<1.2;2.近接分枝との関係Score:近接分枝が動脈瘤から派出,1;近接分枝が動脈瘤と無関係に派出,0.Difficulty score=DNR Score+近接分枝との関係Scoreとした.Difficulty scoreと瘤の閉塞率は強く相関しており,特にDifficulty scoreが1以下の群では完全閉塞53%,不完全閉塞12.5%であるのに対し,同scoreが2以上の群では完全閉塞8%,不完全閉塞65%であり,瘤の塞栓効果の予測に有用であると推測された.
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