研究概要 |
1.前年度に引き続き塞栓術とクリッピング術の治療成績を対比検討した。また、2.クリッピング術後症例の術後閉塞率を低侵襲に評価する目的でクリッピング術後動脈瘤を対象にmultidetector CTを用いた3DCTAを施行し回転DSA3次元再構成画像(3D-DSA)と対比検討した。さらに、3.塞栓術における成功率や塞栓率に影響を与える材料側の因子としてマイクロカテーテルの形状形成時の特性を11種類の市販カテーテルで比較検討した。 1.クリッピング術と塞栓術の比較。クリッピング術は230動脈瘤,塞栓術は86動脈瘤に施行された。重症度分類ではH&KG3以上の重症例はコイル群で重症度が高い傾向にあった(24%vs34%)。手技に伴う症候性合併症の頻度はクリッピング群11.3%,コイル群 2.4%とクリッピングで高率に見られ,またクリッピング群における合併症の頻度は術者により0%-32%と大きく異なっていた.退院時の臨床転帰はmRS3以上の予後不良例はクリッピング群18.3%,コイル群26.7%とコイル群で予後不良がやや多い傾向にあったが,入院時重症度がG2以下の軽症例においては予後不良例はクリッピング群では7.4%,コイル群で2.2%と結果が逆転していた。術後再出血の頻度はクリッピング群2.2%,コイル群1.2%であった。この結果は2005年11月に開催された北米放射線会議にて発表した。 2.2.クリッピング後の動脈瘤20動脈瘤に対し3DCTAと3DDSAを施行し画像を比較検討した。20動脈瘤中12ではCTAは3DDSAとほぼ同等に評価可能であった。3例ではクリップのアーチファクトにより評価できなかった。5動脈瘤では瘤残存の有無の評価は可能であったが瘤近傍から派出する分枝の評価が困難であった。これらの画像に影響する因子としてはクリップの材質および数が影響していた。 3.検討を行った11種類のマイクロカテーテルの形状形成能・形状保持性・形状形成後の内面の状態は大きく異なり形成により内腔の狭窄や変形をきたすものが見られた。
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