研究概要 |
1.塞栓術に影響を与える動脈瘤・脳動脈の形態因子を回転DSAからの3次元再構成画像(3D-DSA)を用いて検討した。対象は前交通動脈瘤28症例で動脈瘤のサイズ、方向、ドーム・ネック比、動脈屈曲度、術者の経験値と動脈瘤の塞栓率の関連を検討した。これらの因子のうち有意な相関を示したものはドーム・ネック比および術者の経験値であった。これらの因子を10点スコア化すると4点以上と未満において塞栓率に有意な差がみられ(p<0.01)塞栓術の適応決定に有用と思われた。本内容は2004年北米放射線会議にて発表しCertificate of Merit賞を受賞した。 2.クリッピングと塞栓術の比較.クリッピングは230瘤,塞栓術は86瘤に施行された.重症度分類ではH&KG3以上の重症例はコイル群で多い傾向にあった.手技に伴う合併症はクリッピング群11.3%,コイル群2.4%とクリッピングで高く,またその頻度は術者により異なっていた.退院時の臨床転帰はmRS3以上の予後不良例はクリッピング群18.3%,コイル群26.7%で有意差は認めなかった.術後再出血の頻度はクリッピング群2.2%,コイル群1.2%であった. 3.術後評価を低侵襲に行うために、クリッピング後動脈瘤20瘤に対しCTAと3DDSAを施行し比較検討した.20瘤中12ではCTAは3DDSAとほぼ同等に評価可能、3例はアーチファクトにより評価できなかった。5瘤では瘤残存の有無の評価は可能だが分枝の評価が困難であった。これら画像に影響する因子はクリップの材質および数であった。 4.塞栓術の結果に影響を与える材料の検討として、11種類の市販マイクロカテーテルの形状形成・保持能、形状形成時の変化に関し検討した。11種のマイクロカテーテルの形状形成能・保持性・形状形成後の内面の状態は異なり形成により内腔の狭窄や変形をきたすものが見られた。
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