急性心筋硬筆において、発症後亜急性期から慢性期にかけて左室健常部(非梗塞部)心筋にリモデリングが生じ、患者の生命予後悪化に関係することが知られている。そこで、左室リモデリングが、どのようなメカニズムを介して梗塞心の慢性期予後を悪化させるのか、その病態をポジトロントレーサーとしてC-11-acetateを用い、梗塞対側「健常領域」の心筋酸素代謝の面から検討した。本年度実施できたのは、大きい前壁梗塞6例であった。6例に対し梗塞対側「健常領域」の心筋酸素代謝をC-11-acetateのクリアランスレートKmonoを用いて測定したが、その値は以前に計測した年齢の一致した健常者の対応部位と比べ6-8割の値を示し、同部が見かけ上の健常部にすぎないことを明ちかにした。左室リモデリングの程度は、同日に施行した心エコー図より確認し、また神経体液性性因子面から血漿BNPを測定して評価した。 心筋酸素代謝の定量解析をいかなる再構成断面において行うべきか、すなわち左室の垂直横断像、水平横断像を用いるよりも体軸横断像を用いた方が、Kmonoの測定にノイズが少なく、安定したデータが得られる可能性が示唆された。平成16年度以降は、これらの予備的な結果を踏まえ研究を進める。
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