平成15年度に、肺癌11結節(原発5、転移6)に対し経皮的ラジオ波凝固療法を施行した.術前、術後にCT、MRI、FDG-PET、呼吸機能検査、血液生化学検査を実施して有効性と合併症のデータを蓄積するとともに、画像データのデジタル保管を行った.また、平成12年度に開始して以来の3cm未満の22結節に対する本法の治療成績をまとめた.その結果、治療1年後の縮小効果でみると縮小14結節(63.6%)、不変4結節(18.2%)、増大4結節(18.2%)であった.治療完了の目安であるroll offが得られた17結節ではそれぞれ76.4%、17.6%、5.9%で、奏効率、増大率ともroll offしなかった5結節より有意に良好な成績であった.主な合併症は術中の疼痛と熱感が65%、気胸33%、術後の37.5℃以上の発熱が30%、血痰23%であったが、いずれも軽症で外科的処置を要する重篤例は無かった.この結果を北米放射線学会、欧州心血管インターベンショナル・ラジオロジー学会、日本医学放射線学会、日本血管造影インターベンショナル・ラジオロジー学会、日本癌治療学会等で発表した.研究代表者の松岡が代表世話人を務める「肺RFA談話会」の第3回が平成15年6月に岡山で、第4回が平成16年1月に津で開催され、全国から参加者があり本治療に関する技術向上と意見交換を行った. 本法が肺の気管支血管構造に及ぼす影響の基礎的データを得る目的で、今年度に温度測定が可能な展開型電極とラジオは発生装置(RITA社製)を購入し、動物実験を開始した.豚の正常肺に対しCTガイドで穿刺、通電を行い、出力と凝固温度の測定、CT画像の経時的変化と肉眼的および組織学的病理所見との対比を行う実験を立案し、次年度にかけて成績をまとめ発表を行う予定である.
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