冷却CCDカメラを用いたTLシート二次元読取りシステムを開発し、各種形状と材質のMetallic Stent (MS)(気管、食道、血管用)の線量擾乱について測定した。<読取りシステム>発光量-線量特性に関しては、ダイナミックレンジの広いTLシートの特性をI.I.方式では生かしきれなかったのに対して、冷却CCDカメラ方式では、広いダイナミックレンジで読み取りが可能となり、10〜5000cGyまでLinearityが保たれていた。また、CCDを冷却することにより、ノイズの少ない画像データが得られた。以上から、従来のI.I.方式に比べて優れていることが判明した。<線量擾乱>気管(ステンレス鋼)、食道(ナイチノール)、下肢動脈(コバルトアロイ、ステンレス鋼)、心冠状動脈用(ステンレス鋼)MS、と脊椎固定金属(6.2mmφ高純度チタンロッド)を用い、外部照射は10MVX線、腔内照射は^<192>Ir-HDRにより、MSにTLシートを密着させて6Gy照射した。照射されたTLシートを冷却CCDカメラを用いた二次元読取り装置で画像として読取り、吸収と散乱(線量擾乱)について測定を行った。照射は各々5回以上行い、複数の画像を重ね合わせるComposite法により測定した。その結果、吸収はステンレス鋼で2.2〜8.1%、コバルトアロイで3.4%、脊椎固定金属で14%の線量減少がみられ、ナイチノールは測定不能であった。散乱はステンレス鋼で3.2〜8.8%、脊椎固定金属で21%の線量増加がみられ、コバルトアロイとナイチノールは測定不能であった。一方、腔内照射は吸収でステンレス鋼は8.7%、ナイチノールは1.8%、コバルトアロイは2.4%の線量減少がみられた。以上から、高エネルギーX線照射によるMSの線量擾乱は、表面に限局した最大8〜9%の増減であり、臨床的に問題にならないが、脊椎固定金属では表面で最大21%の増量があり、これらを考慮した線量評価が必要であることが示唆された。
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