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分子イメージングや分子標的治療が関心を集めているが、その一分野として悪性腫瘍を認識するモノクローナル抗体を放射性同位元素で標識し生体に投与して悪性腫瘍の診断や治療を行う抗体シンチグラフィや放射免疫療法は、これまでに基礎的検討、臨床応用が進められてきた。
今年度本研究は、分子標的の手法を用いて腫瘍のイメージングおよび治療を目的とした。放射能標識抗HER2抗体を用いた放射免疫療法の実用化に向けて、モノクローナル抗体による内部放射線療法を行うために放射性同位元素と抗体との標識法の諸課題を検討した。マクロサイクルの構造を持つキレート剤は、その標識化合物の安定性によって、放射免疫療法を行う際キレート剤に適していると考えられる。キレートを用いた放射能標識におけるパラメータの設定を行い、腫瘍モデルで腫瘍標的の条件最適化を検討した。
また実際に放射免疫療法の臨床応用を行う場合、放射線防護を考慮し放射線安全基準を順守した診療体制を準備しておくことが不可欠であり、これについても今年度本研究でその要件を考察した。放射免疫療法を実際に医療施設で施行する際には、国内法令や国際的な指針を順守することが求められ、施設基準や行為基準を確立することが重要である。また実際に本施設で放射免疫療法を行うため、施設の放射線防護の基準を検討し、シミュレーションを行つて遮蔽、排気・排水などの設備の能力を計算した。分子イメージングや分子標的治療が次々に臨床応用されている現在、本研究のような基礎的検討の意義は大きいと思われた。
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