本年度は、核医学画像に関しては、昨年度開発した1次線成分と散乱線成分を利用した画像融合のための体輪郭描出法のプログラムを完成させ、センチネルリンパ節検索で得られるシンチグラムにおける体輪郭の描出の自動化を図った。これにより、明瞭な体輪郭が描出されたシンチグラム画像の処理を撮像終了後1分程度で終了させることが可能となった。 CT画像との融合は、昨年度と同様にワークステーション(GMS-5500A/PI、東芝、東京)上で、ART(automatic registration tool)プログラムを利用して行ったが、今年度は、標的臓器の位置の座標軸上での表示法として、3次元画像センサーの応用を検討した。3次元画像センサーは磁場情報を利用して、その局在位置を座標軸上に表示する技術であるが、ファントムを用いての検討で3次元画像センサーはその位置情報を2mm以内の誤差で表示することが可能であった。センサー部分の大きさが2mm程度であるため、適切な形で封入すると体内での位置情報の収集も可能と考えられた。 さらに、標的組織の術中の視認性を高めるために、標的組織に親和性を示す色素の導入を検討した。Quantum Dotsは近赤外線領域で強い発光を示し視認性に優れた色素である。この色素を結合させたアルブミンを使うことにより、これまで、炭粉沈着による発色で観察困難であった縦隔のリンパ節の可視化が可能となった。これに放射性核種を結合させることにより、センチネルリンパ節の位置情報の立体表示が理論的に可能であることを確認した。
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