若年豚を用いた動物実験による血管内レーザー照射による静脈閉塞法の効果と安全性の放射線学的、病理学的なin vivoでの検討の結果、カテーテルおよびレーザーファイバー挿入までの手技の確立、レーザー照射の皮膚面を含めた局所での安全性の確認、肺塞栓の励起や血圧の低下などの重篤な副作用が無いことの確認、レーザー照射後の急性期、亜急性期での静脈の強固な血栓による閉塞の確認、が得られた。この研究成果は、米国AJR学会(コロラド、平成16年5月)、日本静脈学会(三重、平成16年6月)、日本スカンジナビア放射線学会(山形、平成16年9月)等にて発表した。引き続き、レーザー照射後の弾性包帯併用効果、および慢性期での静脈閉塞効果の検討のための基礎的実験を施行した。パイロット実験では、2ヶ月後の血管閉塞の継続は確認されたが、若年豚の高い活動性による弾性包帯連続着用の困難さ、数ヶ月後の体躯の大きさ、成長過程にある動物での病理学的検討の妥当性等の問題があり、プロトコールの再検討を要した。一方で海外からの長期観察臨床データの報告があり、それを軸として当施設での倫理委員会の許可を経た後に、臨床応用を開始した。対象は大伏在静脈の下肢一次性静脈瘤の患者で、手術との比較を含めた詳細な説明の後にインフォームドコンセントの得られた者である。平成17年1月現在、全例で全観察期間(最長8ヶ月)を通じて大伏在静脈の完全閉塞が得られている。重篤な副作用は1例も無い。この研究成果は日本脈管学会(札幌、平成16年10月)、日本医科大学医学会例会(東京、平成16年11月)等にて発表し、今後日本医学放射線学会(横浜、平成17年4月)、ヨーロッパ心血管インターベンション学会(ニース、平成17年9月)にて発表予定である。
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