研究概要 |
ミトコンドリア機能が障害された心筋におけるMIBI保持能低下を確認するため,アドリアマイシン(DXR)投与ラットのMIBI心筋集積を経時的に計測し,心筋障害(OMD)の指標とされるトロポニンT活性(TnT)の上昇,病理学的所見とMIBIの心筋保持能低下を対照群と比較・検討した。 2mg/kg/WのDXRを9週皮下投与した心不全ラット(Wistar-Kyoto系ラット)10匹と同量の生食を9週皮下投与した対照ラット(Wistar-Kyoto系ラット)10匹を対照とした。2検出器型ガンマカメラPRISM 2000にピンホールおよび超高分解能コリメーターを装着し全身および心筋カウントをMIBI 6MBqを静注後10分,60分および120分を中心にそれぞれ3分間収集し,心筋と全身のカウント比(H/T Ratio)および10分からの洗い出し率(WR)を算出し,心不全群と対照群で比較した。MIBI 6MBqを静注120分後に剖検し%ID/g(percentage activity of injected dose)を算出し、血液から血清TnTも測定した。また、得られた心筋から組織学的心筋障害スコアを得た。 DXR群における%ID/g, H/T RatioはControl群に比べ有意に低値を,WRはいずれも有意に亢進を示した。DXR群全例と対照群2例でTnT上昇を認め,いずれも組織学的に心筋障害を示した。TnT値はH/T Ratio(10,60,120min.)のいずれとも有意な負の相関を示した。組織学的スコアは,H/T Ratio(120min.)とは有意な負の相関を示し,WR(120min.)とは有意な正の相関を認めた。 MIBI洗い出しの亢進は心筋障害と密接に関連しており、次年度は糖尿病性心筋症ラットにて洗い出しの変化を検証する予定である。
|