研究概要 |
我々はDXRを投与した心不全ラットにMIBIおよびI-125annexin V(AnV)を投与し,心筋障害(Ongoing Myocardial Damage=OMD)における心筋のMIBI保持能低下とアポトーシスの関与を検討した。心不全群(DXR)として生後10週のWistar-Kyoto系ラット10匹に2mg/kg/WのDXRを8週皮下投与した。また,同系のラット8匹に同量の生食を8週皮下投与し,対照群(control)とした。麻酔後にMIBI 74MBqを大体静脈より静注し,2検出器型ガンマカメラで全身および心筋カウントをMIBI静注後1〜16分,60分および120分を中心収集し,心筋と全身のカウント比(H/T Ratio)および10分からの洗い出し率(WR)を算出した。MIBI静注後40分でAnV 0.37MBqを大腿静脈より投与し,120分後の収集後に脱血,剖検した。MIBI,AnVの投与量に対する組織集積を%ID,%ID/gとして心筋,血液,肺,肝で測定した。また,乳頭筋レベルで左室短軸横断切片を切り出し,脱血死から60分以内にMIBI集積像を,また2日おいてAnV集積像をdural autoradiographyによって得た。心筋以外の組織のMIBI%IDおよび%ID/gをcontrol群とDXR群で比較すると,血液の%ID/gと肝の%IDはDXR群で有意な上昇を示した。心筋のMIBIとAnVの%IDおよび%ID/gでは,DXR群のMIBI%IDとAnV%ID/gはcontrol群と比べ,それぞれ有意な低下と上昇を示した。DXR群ではMIBI%IDとAnV%ID/gは有意な負の相関を認めたが,control群では両者に有意な相関はみられなかった。
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