研究概要 |
本年度研究計画に基づきその結果を報告する。 1,磁気センサ感度改良:励磁装置をコイル型に改良することにより既存のMRセンサから、数倍の感度改良が可能であった。以前のセンサは磁性体より1mm以上の距離では検出不可能だったが、改良により3〜4mmの距離でも検出可能となった。 2,センサ外套の作成:滅菌再利用可能なセンサ駆動部一体型外套作成に成功したが、センサ先端部の強度不足により接触時の外套先端の変形が磁気感知に影響を及ぼすため、強度を高める事や材質の変更など更なる改良が必要と思われた。 3,駆動装置の改良:モータによる磁気センサを駆動させるため、未だ軽量化が難しい状況である。 4,乳癌患者でのセンチネルリンパ節同定:改良された高感度磁気センサを用いて、原発性乳癌患者5名に対して磁性流体励磁法にてセンチネルリンパ節同定を行った。センサの指向性が強いため(センサの先端の方向でしか磁気を検出しないため)、同定には時間を要したが5例全例で3cmの皮膚切開で腋窩センチネルリンパ節同定は可能であった。しかし体表面からのセンチネルリンパ節同定は5例中2例の成功であり、2の外套の項でも述べているが、センサ先端がセンサと接触してしまう事により、磁気検出が不安定になる事が考えられ今後の改良課題と思われた。 センサの改良(軽量化・小型化・外套の材質改良など)がすすめば、今現在頻用されているガンマプローベ法と同じ精度のセンチネルリンパ節生検が可能と思われ、一般病院への普及が計れると思われる。
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