研究概要 |
本研究は、癌患者血清中に存在する癌抗原特異的なIgG抗体をSEREX法にて検出することで、癌の早期診断方法の開発や悪性度を診断を目的とするものである。クローニングされた分子は、分子標的治療への発展を模索することとしている。 平成15年度〜16年度は、癌細胞株より作成したcDNAライブラリーからタンパクライブラリーを作成して、患者血清によりスクリーニングを行った。合計350種類以上の抗原遺伝子をクローニングした。癌との関連性が未知である遺伝子を選択して、新たなる診断・治療への戦略を模索した。第1段階として、クローニングした遺伝子断片からペプチドを合成してハウスメイドのELISAアッセイ系を確立した。健常者対照群における陽性率が5%未満である抗原にうち乳癌患者において健常者よりも陽性率の高い抗原遺伝子を選択した。有望遺伝子として、P53,SURF-1,ZIC2,symplekin/Huntingtin interacting protein I (SPK),HCA25aであった。このうち、ELISAキットの作成に成功したのは、HCA25aである。ELISAにて血清IgG抗体価が乳癌患者で有意に高値を示すことが明かとなった。一般にSEREX抗体は、既存の腫瘍マーカーとの重複陽性症例が少ないため、併用することで、陽性率を高めることが可能と思われた。
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