研究課題/領域番号 |
15591330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高山 卓也 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10332579)
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研究分担者 |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
角田 卓也 東京大学, 医科学研究所, 講師 (30275359)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | dendritic cell / in vivo electroporation / Flt3L / IL-18 |
研究概要 |
進行がん患者を対象に患者末梢血由来樹状細胞を体外にて培養し、腫瘍内に投与する第1相臨床試験を施行し、その安全性を確認し得た。しかし、副次目的である抗腫瘍免疫反応は得ることはできなかった。そこで、投与した樹状細胞の解析により、進行がん患者由来樹状細胞の機能不全が明らかになった。一方、生体内にある樹状細胞の前駆細胞をそのまま生体内で直接分化増殖へと誘導させることができればより実用性の高い手法となる。Flt3Lは生体内の樹状細胞の分化、増殖を誘導するサイトトカインである。そこで、我々は、すでに確立したIn vivoエレクトロポレーション法を用いてにFlt3Lを生体内に遺伝子発現させた。その結果、生体内で樹状細胞を動員、かつ成熟化し、免疫反応を制御できる可能性が示唆され、論文報告した。 樹状細胞療法との併用療法として、自然免疫が備えるNatural Killer細胞やNatural Killer T細胞を活性化させるIL-18に注目し、効率よくIL-18を発現するアデノウイルスベクターを開発した。我々の研究結果により、生体内に存在する樹状細胞の動員と成熟化のみでは十分な抗腫瘍免疫反応は惹起できないことが判明したことから、Flt3L遺伝子導入による生体内樹状細胞の動員と腫瘍局所へのIL-18遺伝子治療を組み合わせた併用治療を考案し、マウス腫瘍モデルで検討した。その結果、併用療法により、それぞれ単独治療で得られなかった全身の抗腫瘍免疫反応を誘導できることが明らかになった。以上の結果から、樹状細胞がもつ獲得免疫能の増幅とIL-18がもつ自然免疫能の増強が相互に補完しあうことにより、癌抗原の多様性に対応できる可能性が示唆された。 以上、この2年間の助成期間中内に基礎的および前臨床的研究を進め、多くの知見を集積し得た。本研究結果から、生体内の樹状細胞を動員した獲得免疫と自然免疫が備えるエフェクター機能をサイトカインによって増強する新しい免疫遺伝子療法の有用性が示唆された。今後、臨床応用へ向けてさらなる検討を重ねていく予定である。
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