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2004 年度 実績報告書

大動脈粥状硬化病巣への歯周病菌の関与と病巣に及ぼす影響についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 15591331
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

井上 芳徳  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70280964)

キーワード歯周病 / 腹部大動脈瘤 / 閉塞性動脈硬化症
研究概要

目的:最近の疫学的調査から口腔内感染とくに歯周病と心臓血管疾患や頸動脈疾患の関連性が報告されており、歯周病と血管疾患との関連性について動脈検体と口腔内検体をPCR法にて系統的に検討した。
対象と方法:対象は、腹部大動脈瘤(A群)50例、閉塞性動脈硬化症(S群)55例である。歯周病の重症度を歯周ポケットの深さで4段階に分類し、PCR法にて口腔内検体、動脈瘤壁の歯周病菌DNAを検索した。肉眼的にほぼ正常な末梢吻合部10例をコントロール検体とし、PCR法にて歯周病菌DNAを検索した。
結果:歯周病の重症度は、A群:健常2例、軽症14例、重症28例、無歯牙6例、S群:健常2例、軽症19例、重症26例、無歯牙8例に認められた。PCR法による歯周病菌DNAの陽性率は、A群:唾液中86%(43/50)、動脈瘤壁82%(41/50)、S群:94%(50/53)、動脈瘤壁90%(9/10)、軽度の動脈硬化病変部(吻合部)48%(21/43)であった。コントロール(n=10)検体では歯周病菌DNAをまったく検出できなかった。
考察:対象例の歯周病罹患率はわが国の平均(82.5%)より高く、かつ重症化していた。動脈瘤病変の82%、閉塞性病変の90%に歯周病菌DNAが一種類以上認められ、軽度の動脈硬化性病変では48%であり、さらには歯周病菌がコントロールでは認められなかったことから、動脈硬化性病変の初期段階から影響する可能性が示唆された。
結語:対象患者のほとんどが歯周病を有し、かつ重症であった。PCR法による検討にて歯周病原因菌のDNAが動脈病変から高頻度に認められ、軽度の動脈硬化性病変では検出頻度が低く、さらにコントロール検体からは検出できなかった。歯周病がAAAやASOなどの動脈疾患の進展に、なんらかの形で関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Detection and localization of Periodontopathic bacteria in abdominal aortic aneurysms.2004

    • 著者名/発表者名
      Kurihara N, Inoue Y, Iwai T, Umeda M, Hung Y, Ishikawa I.
    • 雑誌名

      Eur J Vasc Endvasc Surg 28

      ページ: 553-558

  • [雑誌論文] 動脈疾患における新しい危険因子-歯周病菌と動脈病変の関連性について-2004

    • 著者名/発表者名
      栗原伸久, 井上芳徳, 岩井武尚, 梅田 誠, 黄 怡, 石川 烈
    • 雑誌名

      脈管学 44:12

      ページ: 781-786

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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