研究課題/領域番号 |
15591331
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井上 芳徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70280964)
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研究分担者 |
岩井 武尚 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90111591)
石川 烈 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10014151)
梅田 誠 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (90193937)
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キーワード | 閉塞性動脈硬化症 / 腹部大動脈瘤 / 歯周病 / 歯周病菌 / サイトカン |
研究概要 |
最近の疫学的調査から歯周病と心臓血管疾患や頚動脈疾患の関連性が報告されている。今回、動脈疾患と歯周病および単球中サイトカインの関連性について検討した。閉塞性動脈硬化症(ASO群)55例、腹部大動脈瘤(AAA群)50例を対象として、歯周病の程度、PCR法にて唾液と動脈硬化病変における歯周病菌DNAの有無、および動脈壁における局在性を検討した。一般血液検査とLPS刺激後の末梢血単球中サイトカイン(TNF-α、IL-1β)を測定した。 歯周病の程度は、ASO群:重症(歯周病ポケット5mm以上)26例、軽症(2-5mm)19例、正常(2mm以下)2例、無歯牙8例であり、AAA群では、それぞれ28例、14例、2例、6例であった。歯周病菌の陽性率は、ASO群で唾液53例中40例(94%)、病変部動脈壁(動脈硬化が中等度以上)10例中9例(90%)、吻合部動脈壁(動脈硬化が軽度)43例中21例(48%)であり、AAA群では唾液43例(86%)、瘤壁41例(82%)であった。歯周病菌DNA検出率は、全体としてはAAA群:86%であり、ASO群:56.6%と比してAAA群で高率であった。また動脈壁における局在性を10例で検討したが、AAA群(n=5)では全層に認められたのに対して、ASO群(n=5)では内膜中膜にのみ歯周病菌が認められ外膜には全く認められなかった。単球中サイトカインではAAA群がASO群と比較してTNF-αのみ蛍光光度が強く認められた。 動脈疾患症例における歯周病罹患率はわが国の平均より高く、PCR法で動脈壁に歯周病菌が高率に認められた。壁内に歯周病菌DNAが存在したことより動脈疾患への関与が示唆された。また動脈瘤の一因であるMMP産生がTNF-αで増加することと、単球中TNF-α産生が両群間で有意差を認めたことより、単球中TNF-αが動脈瘤形成に関与してる可能性が示唆された。
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