研究課題
基盤研究(C)
転移再発肺癌患者3例に対してMUC1ムチンを標的とした樹状細胞ワクチン免疫療法を行った。2週間隔で3回以上の細胞接種を行った後、治療前後に各患者より採取した末梢血リンパ球をMUC1ペプチドでパルスした自家樹状細胞を用いてin vitro刺激した。この刺激は毎週計3回繰り返した。最終刺激より7日後にリンパ球を回収し、そのMUC1抗原に対する反応性を解析した。解析法はリンパ球をFITCラベル抗CD8抗体とPEラベル抗インターフェロンガンマ抗体で染色後、フローサイトメトリー解析した。3例中1例において治療後にMUC1ムチン特異的に反応するCD8陽性Tリンパ球の増加が認められた。他の2例では抗原特異的細胞応答は認められなかった。本治療の臨床面では、3例すべてにおいて細胞接種後数日間38度を超える発熱が認められた。また2例に接種部位の発赤を認めた。その他の有害事象は認められなかった。臨床効果に関しては1例で肺転移巣の増大が、1例で血清腫瘍マーカー値の増加が認められた。他の1例では明かな腫瘍増大は認められなかった。現時点では症例数が少ないこと、観察期間が短いことなど本治療の有効性を評価するには時期尚早であると思われる。ただ治療患者に抗原特異的細胞性免疫応答の誘導が可能であることから、今後さらに症例を積み重ねていけばある程度の効果が得られるものと期待できる。
すべて 2004
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Int J Oncol 25
ページ: 1537-1542
Int.J.Oncol. 25