研究課題/領域番号 |
15591347
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
榎 忠彦 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80311819)
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研究分担者 |
濱野 公一 山口大学, 医学部, 教授 (60263787)
伊東 博史 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (90363100)
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キーワード | 異種移植 / mixed chimerism / 免疫寛容 / 移植免疫 / costimulatory blockade |
研究概要 |
ラットからマウスへの異種移植の免疫寛容導入の有無をmixed chimerismを用いて検討した。 1)実験モデル マウス異所性心移植の手技を用いて、ラットからマウスへの心臓移植の手技を確立した。 Mixed chimerismの作成は、ラットの骨髄細胞60x10^6個を3Gy全身放射線照射されたマウスへ静脈内投与する事で行われた。抗CD40Lモノクローナル抗体(MR1)、抗CD8モノクローナル抗体(2.43)、抗ナチュラルキラー細胞抗体(NK1.1)、抗Thy1.2抗体(Ty1.2)、抗CD27抗体(CD70)を投与した群に対しての実験を行った。 2)現在までの結果 ラットからマウスへの異種移植では、無処置群で3〜7日目に移植心が拒絶された。 抗体投与のみで骨髄移植を行わなかった群では、移植されたラットの心臓は移植後130日前後で全例拒絶された。抗体投与と骨髄移植を併用した群では、mixed chimerismが移植後6週頃まで続いたがその後10週目頃までには消失した。ドナー反応性T細胞も消滅していなかったが、移植されたラットの心臓は移植後300日を超えて生着した。免疫寛容が得られたか否かを2回目のラットの心臓を移植することで検討した。その結果、最初の移植心が生着したマウスでは、2回目の移植心も生着し、組織学検査では拒絶反応は認められなかった。以上の結果より、ラットの移植心に対して免疫寛容が得られた。一方で、最初の移植心生着延長が認められたマウスに2回目のラット心臓移植を行ったところ7日以内に拒絶された。抗体投与のみでは免疫寛容を導入することが不可能であった。mixed chimerismは消滅するが、骨髄移植を移植時に抗体と一緒に投与することで異種心移植で免疫寛容が導入できることが分かった。 4)今後の展開 免疫寛容を導入するメカニズムは、ドナー反応性T細胞の消滅ではなかったために新たなメカニズムの解明が今後必要である。
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