研究課題/領域番号 |
15591349
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森崎 隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90291517)
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研究分担者 |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
馬場 英司 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (00315475)
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キーワード | 樹状細胞 / 三次元培養 / 低速環流ポンプ / リンパ球 / 固相化 / IFN-γ / Type I collagen |
研究概要 |
強力な抗原提示能を有する樹状細胞を用いた抗腫瘍免疫ワクチン療法は、これまでの標準治療に抵抗性の難治性癌や高度進行癌の治療・予防に期待される癌特異免疫療法の一つである。我々は、自己腫瘍細胞を凍結・解凍した破砕細胞をパルスした成熟樹状細胞によるワクチン療法を、九州大学倫理委員会の承諾下に実際の臨床において開始している。本研究では、ティシュエンジニアリングを用いた再生医学的手法を取入れ、抗原刺激樹状細胞を三次元デバイスを用いて固相化した装置を応用することにより、持続的、大量に腫瘍抗原反応性リンパ球の培養を可能とする手法の確立をめざしている。今年度は、樹状細胞を三次元的に固相化することにより、リンパ球との接触(抗原刺激)時間を短縮、調整する培養システムについて研究をおこなった。樹状細胞の固相化は1)Type I collagenへの接着による三次元固相化と2)folmaldehydeによる細胞そのものを固定後に固相化した条件について検討した。現時点では、固相化樹状細胞層を通過させることにより、リンパ球の寿命が延長することが確認されつつあるが、1)の生物学的固定、固相化の方が、樹状細胞によるサイトカイン産生の点からみてリンパ球との共培養の条件下では優れていることを示唆する結果が得られている。また、固相化樹状細胞で刺激したリンパ球を、さらに低濃度IL-2+固相化CD3抗体の存在する培養器にポンプで移行させることにより、細胞数を約10倍から100倍に増加させることも確認された。更に、自己腫瘍をパルスした固相化樹状細胞の培養器内を、低速持続環流ポンプにより自己ナイーブリンパを環流させることにより、リンパ球のInterferon-gamma産生が増加することがわかった。Folmaldehyde固定樹状細胞を用いた装置においては、リンパ球の活性化は非常に弱く、今後のさらなる培養条件と樹状細胞処理法の検討が必要であると考えられた。
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