研究概要 |
本年度前半は昨年度に検討を行ったCEA transgenic miceを用いた抗腫瘍効果について,皮下腫瘍を用いた免疫組織化学染色や,その他詳細な副作用の検討を行った. 1.CEA transgenic miceにおける抗腫瘍効果と免疫組織染色 MC38-CEA(5×10^6個)をマウスの背部皮下に移植し,14日後に次の3つの治療法を行い,7日目に儀死後皮下腫瘍を取り出し,一部をホルマリン固定後HE染色し,組織の病理学的診断をした.さらに一部の腫瘍組織は凍結切片にし,CEA CD4 CD8 NKの蛍光免疫染色を行い腫瘍組織中の細胞表面マーカーを確認した.Group 1:DC-AxCALacZ(LacZ遺伝子導入DC接種群),Group 2:DC-AxCACEA(CEA遺伝子導入DC接種群),Group 3:DC-AxCACEA/GM-CSF/IL-12(CEA,GM-CSF,IL-12遺伝子同時導入DC接種群)Group 2,3はコントロール群と比較して著明な腫瘍縮小を認め,さらに治療グループは腫瘍組織のHE染色にて著明なリンパ球浸潤や腫瘍壊死像を認めた.またGroup 3の腫瘍組織は蛍光免疫染色にてCD8細胞NK細胞の浸潤を認めた. 2.CEA transgenic miceにおけるDCワクチン後の副作用に関する検討 Group 1:PBS,Group 2:DC-AxCALacZ,Group 3:DC-AxCACEA,Group 4:DC-AxCACEA/GM-CSF/IL-12にわけCEA transgenic mice背部皮下に接種し,14日後に儀死後血清のAST ALT Crを測定した.さらに大腸粘膜を取り出し,CEA免疫染色を行い自己免疫応答の有無を確認した.治療群の血清AST ALT Crはコントロール群と差を認めず,また自己免疫応答は認めなかった.現在上記内容の論文を投稿中である. 本年度後半は昨年度施行したCEA遺伝子導入ヒト末梢血由来DCを用いたin vitroでの検討をさらに発展させるべくヒトGM-CSF遺伝子発現アデノウイルスベクターを作製しCEA遺伝子GM-CSF遺伝子同時導入による抗腫瘍効果の増強効果を検討した.CEA遺伝子単独導入DC群と比較してCEA GM-CSF遺伝子同時導入DC群は強い細胞傷害活性を示すCTLが誘導された.
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