1 タクロリムス封入生分解性ナノスフィアの調製 乳酸-グリコール酸共重合体(分子量20000)600mgとタクロリムス60mgをアセトン12mL、エタノール6mLを用いて溶解し、撹拌速度400rpmで外水相の2%ポリビニールアルコール水溶液によって析出させた。この条件で平均粒子径266.8nm、封入率6.78%のナノスフィアを調製した。さらに、外水相に0.1%キトサンを加え被膜剤として腸管粘膜表面に接着させることで、徐放効果を期待した。調製の結果、平均粒子径403.4nm、封入率6.05%であった。乳酸-グリコール酸共重合体の分子量を5000と小さくするか、撹拌速度を上げると粒子径は小さくなるが、徐放性は低下した。 2.タクロリムス血中濃度変化 LEWラット、200g雄を用い、経口投与後のタクロリムス血中濃度推移を見ると、半減期が14時間で、数日を目標とした有効な徐放性は得られなかった。このナノスフィアを吸収促進剤のオレイン酸に分散させて経口投与すると、半減期が延長し、投与後24時間でもピーク値と変わらず期待される徐放効果が得られた。キトサンをコーティングした剤型は現在検討中である。コントロールとして、市販のタクロリムス経口剤を投与すると半減期は6時間であった。ラットを用いた経口投与では、1日絶食させても、通常の飼育条件下でも、タクロリムス血中濃度に変化はなかった。また、ナノスフィアを生食か、オレイン酸に溶解し1日おいた状態でも、タクロリムス血中濃度に変化はなかった。
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