研究概要 |
1 経口用ナノスフィアの調整 DL-lactide/glycolide copolymer(PLGA)によるタクロリムス封入生分解性ナノスフィアは、分子量20000のPLGAを使い、平均粒子径204nm,タクロリムス封入率4.02〜4.36%である。 2 ナノスフィアの血中濃度変化 LEW系ラットの雄、体重200gを使用し、ナノスフィア4.8mg/kg(タクロリムス含量)を経口投与して、血中濃度変化を測定した。市販のプログラフ4.8mg/kg(タクロリムス含量)と比較して、AUCの有意な高値と半減期の延長を認めた。 3 ナノスフィアの組織内濃度分布 同様に、LEW系ラットを用い、ナノスフィア4.8mg/kg(タクロリムス含量)と市販のプログラフ4.8mg/kg(タクロリムス含量)の経口投与24時間後の組織内濃度を脳、心、肺、肝、脾、腎、小腸、腸間膜リンパ節において比較した。しかし、両者に有意差を認めなかった。そのため、小腸移植モデルを取り止め、心移植モデルによるナノスフィアの免疫抑制効果を検討した。 4 ラット心移植モデルによるナノスフィアの免疫抑制効果 DA系ラットの雄、体重200gをドナー、LEW系ラットの雄、体重200gをレシピエントとして、レシピエントの頚部に異所性にグラフトを移植した。移植後グラフト生着日数により免疫抑制効果を検討した。ナノスフィア48mg/kg(タクロリムス含量)は、心移植後翌日から隔日投与で7回14日間経口投与した。一方、市販のプログラフ4.8mg/kg(タクロリムス含量)は心移植後翌日から連日投与で14日間経口投与した。両者に有意な生着日数の差を認めなかった。 5 まとめ 徐放効果に優れた新しい剤型のPLGAタクロリムス封入生分解性ナノスフィアは、従来の剤型に比べて、投与回数を減らすことが期待できる。
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