研究概要 |
小腸虚血再灌流障害は、小腸移植時や中腸軸捻転等の疾患において、臨床上大きな問題点となっている。虚血再灌流時、腸管粘膜の障害発生メカニズムについては盛んに研究されているが、障害発生後の再生メカニズムについては、未だ明らかではない。 過去我々は、骨髄細胞GFP陽性モデルマウスを作成し、上腸間膜動脈を20,25,30,および40分間クランプさせた後、24hr,3日、7日および30日目に犠死させ、小腸を検体として摘出した後にH-E染色にて検討したところ、充分な虚血再灌流障害を得られなかった。そこで、上腸間膜動脈に加えて上腸間膜静脈を同時に20分間クランプした群を作成し、6および16時間後に得られた検体をH-E染色にて観察したところ、小腸絨毛に障害が確認された。 現在、上記の条件で作成したモデルに対し、再灌流後経時的に小腸を検体として採取し、抗CD45抗体および抗F4/80抗体を用いて免疫染色を施行し、Confocal Laser Scanning Microscopyにて骨髄由来GFP陽性幹細胞の障害部位への集積および分化についての検討を引き続き継続中である。 また、上記の結果、障害部位の修復における骨髄由来幹細胞の関与が確認された場合、G-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)を投与することにより骨髄細胞の生成を刺激することで、さらに組織の修復が促進されるか否かについて検討を進める予定である。
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