研究課題/領域番号 |
15591370
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研究機関 | 香川県立医療短期大学 |
研究代表者 |
加藤 亮二 香川県立医療短期大学, 臨床検査学科, 教授 (00233833)
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研究分担者 |
亀子 文子 信州大学, 医学部・保健学科, 助手 (60126670)
天川 雅夫 香川県立医療短期大学, 臨床検査学科, 助手 (80331867)
真鍋 紀子 香川県立医療短期大学, 臨床検査学科, 講師 (80321264)
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キーワード | 糖鎖変異 / モノクローナル抗体 / 甲状腺癌診断 / レクチン / 診断法 |
研究概要 |
本研究の目的である甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)の簡便な診断法を確立するために、現状の血清Tg測定法に改良を加えた。その方法は、癌組織由来Tgを抗原とする抗Tgモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA)を原理とするが、我々が作製したTg糖鎖の近傍エピトープを認識する標識モノクローナル抗体とサンプルTgおよびレクチン(LCA)を反応させて、レクチンがTgと抗体の反応をどれだけ阻害するかをTg糖鎖変異率として検出するものである。我々はこの操作法を完自動化法として組み立てた。現在までの結果で、手術に摘出された良性組織と悪性組織を用いた場合には、良性組織15例と悪性組織12例でほぼ100%の鑑別が可能であった。血清をサンプルとした実験では、正常者50例、通常のTg測定で全く鑑別困難な良性腫瘍45例と甲状腺癌51例(乳頭癌48例、濾胞癌3例)を用いた時、Tg値が200ng/ml以上を示す症例では癌と良性腫瘍の鑑別もほぼ可能であった。 次に穿刺液をサンプルとして測定した結果、血清と同様に癌と良性の鑑別が可能であった。しかし、穿刺液ではサンプルの保存条件で組織プロテアーゼによりサイログロブリンの分解が認めるために、保存液の工夫が必要であり、保存液および保存法の検討をしている。 今回の実験は濾胞癌との鑑別は明らかではないが、その理由として症例数が少ないために確保が重要である。また、サイログロブリン値の分離境界が200ng/mlであるため、この数値を正常上限までに下げるよう測定法の工夫をしている。さらに、サイログロブリンの異常糖鎖を直接に認識できる新たなモノクローナル抗体の作成を行っている。
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