研究課題/領域番号 |
15591372
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒川 良望 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80215087)
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研究分担者 |
松木 英敏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134020)
本郷 道夫 東北大学, 医学部附属病院, 教授 (60133948)
貝羽 義浩 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30323017)
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キーワード | 胃電気刺激 / ガストロパレーシス / transcutaneous energy transmission system(TETS) / 経皮的電送システム / slow wave |
研究概要 |
薬剤抵抗性の難治性のgastroparesisに対する治療として、胃電気刺激(gastric electrical stimulation : GES)が注目されているが、現在用いられている刺激装置は使用電力が体内の電池に依存しているため、刺激条件が消費電力の少ない刺激条件に制限されており、on/offや条件の変更など外部からの制御が容易でなく、さらに電池交換の手術が必要になるなど幾つかの問題点が挙げられる。我々は、皮膚をはさんで向かい合わせた2つのコイル間の電磁誘導により体外から体内へ経皮的、非接触的に電力を伝送するtranscutaneous energy transmission system(TETS)を用いて、刺激装置に電力を供給する方法を開発し、動物の胃への電気刺激の効果を既存の刺激装置と比較して有効性を調査した。6頭のイヌに対し、胃に4組の双曲電極とforce transducerを埋め込み、迷走神経を切断してgastroparesisのモデルを作成した後、食後期に最も口側の電極からTETSを用いて体外から電力を供給して、意識下に電気刺激を行った。 その結果、TETSによるGESは、正常周期のslow waveの割合、肛門側へのslow waveの伝達を有意に改善させ、さらに刺激装置間に有意な差を認めなかった。このことから今回の実験で従来の刺激装置とほぼ同様の効果がある事が確認された。さらに、同時に行った実験の結果から迷走神経切断の有無により最適な刺激条件が異なる事が示唆され、特に迷走神経切断後および糖尿病性のgastroparesis患者に対してGESを施行する場合は、消費電力が大きい刺激条件が適していると考えられるため、胃電気刺激装置としてのTETSの意味は大きいものと考えられた。
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