研究概要 |
各種腫瘍性疾患に対する内視鏡的治療法としては,切除法や組織破壊法としての各種レーザー治療がある.光線力学的治療は後者に属しており,わが国では早期(初期)疾患が対象となりうる. 15年度はまず,これらの疾患に対して(粘膜)切除法をさらに蓄積した(後述の論文ならびに学会発表を実行).主な実績としては,再発なく根治可能な治療が実施でき,治療手技としてはほば確立できたとするものであった.しかし,術前診断がやや疎かで術後の追加治療として,旧来のレーザー治療が必要な例にも遭遇した.従って,その診断能をさらに充実させる必要があり,病巣を拡大視することも可能な内視鏡装置をあらたに購入した.また他領域(皮膚科など)疾患への臨床適用も積極的に計画し,備品を購入,新しいレーザー装置を即使用可能な状態に完成させた.さらに15年度は,腫瘍径がやや大きい病巣に対しても背景に合併疾患を有するもの,あるいは超高齢者で他の侵襲的治療に耐えられないと考慮される症例を対象として,インフォームドコンセントを十分に行った後,レーザー治療の適応を拡大し,実施した.その結果,腫瘍の広さではこれら組織破壊法は一定の効果が得られた.ただし,腫瘍の深さに関しては,十分な治療とは判定できなかった. 16年度はこれらの臨床データの蓄積のあと,各種疾患に腫瘍親和性光感受性物質を用いて,病巣の局在を確認後,切除法による治療を併用しながら,選択的に光線力学的治療を行う予定である.
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