研究概要 |
各種腫瘍性疾患に対する内視鏡的治療法(EMRなど)としては,粘膜切除法や組織破壊法としてのレーザー照射がある. 光線力学的治療は,主として後者に属するが,前者の補助療法あるいは追加治療としての意義付けもなされている.16年度はこれらの臨床研究に基づき,消化器癌の治療適応を拡大して,両者の併用療法を実施した. 癌の標準治療としての内視鏡的切除術を,さらに普及させるために後に述べる論文執筆活動を積極的に継続して行なった. また,消化器癌以外の腫瘍性病変の治療にも,積極的に内視鏡治療をアプローチした. 今回,腫瘍親和性光感受性物質を用いて,病巣の局在を確認後選択的に光線力学的治療(PDT)を行なった.すなわち,器質性肺炎にて加療中の77歳男性で,経過中に痰細胞診で肺疾患が発見され,気管支鏡検査を施行された.右B6入口部から中間幹に隆起性病変があり,擦過診で同様の右肺扁平上皮癌の診断を得たが,高齢,心房細動で手術不能と判断され,インフォームドコンセントの後PDT療法を行なった.その後はフォローの内視鏡を行い,病巣部の改善,内腔開存が確認されている.現在は他院にて経過観察中である. 以上,消化器癌から呼吸器癌などまで,主として早期病変を対象に,光線力学的治療を含めたいくつかの方法で集学的治療を行なった.
|