研究概要 |
1.ヒト膵癌培養細胞株であるAsPC-1とMIAPaCa-2にインターフェロンβ遺伝子包埋リポソーム(IAB-1)を投与し、腫瘍増殖抑制効果、およびアポトーシス誘導効果につきそれぞれMTTアッセイおよびTUNEL法を用いて検討した。またそれぞれの培養液中に放出されたインターフェロンの濃度を定量するとともに別の膵癌細胞培養ボトル内に投与することにより、細胞外に分泌されたインターフェロンβが他の細胞におよぼす腫瘍増殖抑制効果、およびアポトーシス誘導効果についても検討した。その結果,IAB-1の投与により,AsPC-1,MIAPaCa-2のそれぞれにアポトーシスが誘導されること,さらに遺伝子導入細胞により産生され分泌されたインターフェロンβタンパクは培養上清中に分泌され,近傍の細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが確認された. 2.ビーグル犬を用いて、膵頭十二指腸切除を行う際に膵臓にパテントブルー染色液を経動脈的に投与し、膵周囲の組織やリンパ管、リンパ節への流入を確認した。 3.ヌードマウスを全身麻酔科に開腹し肝表面にAsPC-1とMIAPaCa-2をそれぞれ移植して局所で腫瘍を増殖させた.この肝転移モデルを用いて、1週間後に再度開腹し,腫瘍にIAB-1を直接注入した場合における膵癌の腫瘍増殖抑制効果および肝転移抑制効果について検討した。その結果,IAB-1の投与により転移性肝腫瘍に対して腫瘍増殖抑制効果を示した.
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