研究概要 |
マウス移植腫瘍において、抗癌剤のCPT-11の100mg/kgを週1回、50mg/kgを週2回、20mg/kgを週5回を2週投与し(いずれの治療群も総投与量は等しい)、その効果並びに治療後の腫瘍を切除し、血管新生およびアポトーシスの状況を検討した。血管新生は、既報のごとくfactor VIIIで染色された腫瘍辺縁の血管の数(microvessel counts),アポトーシスはapoptotic indexを用いた。CPT-11は、それぞれ0.5mlとして腹腔投与した。その結果、20mg/kgを週5回投与群は、100mg/kgを週1回投与群に比し、有為に血管新生の抑制およびアポトーシスの誘導が認められた。しかし、抗腫瘍効果においては3群のあいだで差は認められなかった。また、これらの3治療群にα-Difluoromethylornithineおよび抗VEGF抗体の併用を試みたところ、20mg/kgを週5回投与群のみ、両者の併用効果が認められた。血管新生およびアポトーシスも、単独治療に比べ抑制、あるいは誘導が認められた。また、本実験をcolon26を用いた悪液質モデルで追加実験したところ、20mg/kgを週5回投与群で他の群に比し、有為に高い抗腫瘍効果が認められた。 以上より、抗癌剤の低用量頻回投与により血管新生やアポトーシスの誘導が認められると同時に、α-Difluoromethylornithineや抗VEGFとの併用効果も認められた。また抗腫瘍効果が特に悪液質モデルの大きな差が認められたことより、特に高度進行癌患者に適した治療であると考えられた。
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