研究概要 |
我々は、ラット70%肝切除後LPS投与肝不全モデルを用いて、この病態に対する腸管リンパ球の役割とその障害機構を解明するために以下の実験を平成15年より行っている。平成15年度の実験結果より、肝切除後の肝不全において腸管リンパ球をflow cytometryならびに免疫組織学的解析した結果、腸管Bリンパ球が病態の進展と機構に強く関与していることが示唆された。 その結果をもとに平成16年度の研究として、polyclonal rabbit anti-rat IgMμchainを用いたB cell ablation法により、ラット70%肝切除後LPS投与肝不全モデルを使用してPlasma ALT,TNF-α,IL-6,IgMとtotal complement hemolytic activity(CH50)レベルの解析と免疫組織染色と生存率の解析を行った。その結果、ラット70%肝切除後LPS投与肝不全モデルでは、腸管ならびに肝において、B-cellの活性化とIgM?補体系を介した機構が本病態に非常に強く関与していることが示唆された。肝不全における病態の解明では、B-Cellの介在する機構についての知見や報告はほとんどなく、本研究は術後肝不全における病態の解明に重要てがかりとなるものと考えている。 平成17年は本研究の最終年度であり、今までの実験に加えて腸管粘膜免疫におけるB-cellの活性化抑制による肝不全予防効果の検討と研究成果のまとめ、論文発表にむけて準備中である。
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