研究概要 |
膵癌は非常に予後不良であり、外科手術のみでは限界があることは明らかである。一方、光線力学的療法は腫瘍組織親和性を持つ光増感剤を使用し、さらにその効果増強を目的に超音波照射を施行することで治療効果を期待できると考えられ、有効な低侵襲補助療法となりうると思われる。これを目的に光感受性物質であるPorfimer sodiumと超音波照射の相乗効果がもっとも期待できる至適濃度、至適超音波出力、照射時間を求めるため以下の基礎的実験を施行した。 ヒト膵癌細胞株PANC-1,BxPc3をもちいPorfirmer sodiumの培養液中濃度を10,50,100μg/mlでインキュベートしそのおのおのの濃度単独での殺細胞効果、超音波出力0.5W,1W,2W,3Wで10sec,30sec,60sec,180secで単独での殺細胞効果、Porfimersodiumと超音波照射を併用した場合の殺細胞効果の相乗効果をおのおの比較検討した。 PANC-1でPorfirmer sodium10μg/mlで超音波出力0.5Wで10sec,30sec,60sec,180secの殺細胞増強効果はPorfimer sodium単独に比し0%,10%,10%,15%,超音波単独に比し10%,10%,20%,20%の増強効果が確認できた。1WでPorfimer sodium単独に比し5%,8%,10%,10%,超音波単独に比し12%,15%,15%,18%の増強効果が確認できた。2W,3Wでは超音波単独と効果は変わらなかった。50μg/dlで0.5WでPorfimer sodium単独に比し20%,25%,30%,35%超音波単独に比し25%,25%,30%,25%の増強効果が確認できた。 以上より50μg/dl 0.5W30sec-60secの臨床レベルで殺細胞増強効果が確認できた。
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