研究課題/領域番号 |
15591400
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野寺 久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50240825)
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研究分担者 |
鶴山 竜昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (00303842)
森 章 京都大学, 医学研究科, 助手 (60324646)
長山 聡 京都大学, 医学研究科, 助手 (70362499)
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キーワード | 大腸直腸癌 / 宿主免疫 / NKT細胞 / 自然免疫 / 直腸癌局所再発 |
研究概要 |
大腸直腸癌の宿主免疫を検討した研究の多くは獲得免疫系に関してであり、自然免疫系を検討した報告は少ない。Natural Killer T(NKT)細胞はヒトではinvariant T cell receptor(TCR) Vα24Vβ11を発現する第4のリンパ球である。NKT細胞は自然免疫系に属し、獲得免疫系の種々の細胞とのcross-talkを行い、以降の免疫反応に大きな影響を及ぼすとされているが、ヒト大腸直腸癌に於ける役割は殆ど知られていない。本研究では大腸直腸癌に於けるNKT細胞の局在を免疫組織学的に同定し、腫瘍の発育進展における意義につき検討した。大腸直腸癌103例をTCR-Vα24-PE/Vβ11-FITCを用いた二重染色でNKT細胞を同定、その後TCR-Vα24染色(DAB)により大腸癌細胞周辺および癌細胞内のNKT細胞の局在を確認した。腫瘍部に於けるNKT細胞数は、15.2±16.2 cells/5HPFであり、正常部(2.6±3.7 cells/5HPF)に比べ有意に高値であった。性別・占居部位・分化度・リンパ管侵襲・静脈侵襲とは相関が見られないものの、リンパ節転移や壁深達度と有意な相関が見られた。また、Kaplan Meier法(logrank test)により生存率を比較すると、NKT high群は有意に良好であった。大腸癌におけるNKT細胞は、リンパ節転移陰性例、壁深達の進んだ症例、Dukes AB症例で多く発現し、有意な予後因子であることが明らかとなった。大腸癌の発育進展に対する防御機構としての自然免疫系の関与が示唆され興味深い知見である。
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