【背景】肝虚血再還流後のアポトーシスは、従来報告されているDeath receptorおよびミトコンドリアを介する経路を遮断しても完全には抑制されないことから、最近注目されている第3のアポトーシス経路である小胞体ストレスを介する経路が関わっている可能性がある。 【目的】マウス肝の虚血再灌流障害における、小胞体ストレスシグナルによるアポトーシスの関与を明らかにする。 【方法】6週齢のC57BL/6マウスを用いた70%肝虚血90分後再灌流モデルマウスで、再灌流0、3、6、12、24、36、48時間後に肝組織を採取した。虚血葉、非虚血葉において、GRP78、94やGADD153の発現、およびcaspase-12の活性化につきWestern blotおよびRT-PCRにて検討した。 【進行状況と結果】Western blotにて、虚血葉ではGRP78は再灌流6時間より発現上昇を認め、生体において肝虚血再灌流時に小胞体ストレスが加わっていることが示唆された。また、同様に虚血葉においてprocaspase-12の減少を認め、肝での虚血再灌流障害にcaspase-12の活性化が関与している可能性が示唆された。GRP94、GADD153に関しては現在western blotによる検討を施行中であり、併行してGRP78、GRP94、GADD153のRT-PCRによる転写レベルでの発現の変化を検討中である。また、採取した肝組織のTUNEL染色にてアポトーシスの程度を確認し、GRP78、GRP94、GADD153の発現やcaspase-12の活性化との関連を検討していく予定。
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