研究概要 |
(目的) 本研究課題では(1)食道癌培養細胞株を用いて,各種テロメラーゼ阻害剤のテロメラーゼ阻害効果ならびにテロメア長の短縮を定量的に評価する.(2)ヌードマウス移植可腫瘍におけるテロメラーゼ阻害効果を比較検討する.さらに,(3)各種臓器に存在する幹細胞への影饗を検討し,年度内にこれらテロメラーゼ阻害剤のうち,臨床応用可能性な薬剤の選定を行うことを最終目標とする. (方法) 食道癌培養細胞株,TE-1〜TE-15を用いて各種テロメラーゼ阻害剤の効果を検討した. (結果) 1)テロメラーゼ活性の評価法であるtelomeric repeat elongation assayを開発した. 3)G4重環構造に特異的に結合する結語物質の有効性を明らかにした. 2)テロメア結合蛋白質であるPinX1の異常は希であることを明らかにした. 3)hTERT splice variantの発現はテロメラーゼ活性を低下させることを明らかにした. 4)分子標的治療薬であるIressaがEGFR-EGFR-MAPK-ESTを介してhTERTの発現を低下させ,テロメアの短縮誘導に有用であることが明らかとなった。 (考案) 現段階では臨床応用可能なtelomerase inhibitorの開発研究にはつながっていない.しかし,EGF-MAPKを介したhTERT発現上昇は腫瘍細胞の不死化に重要な役割を担っている可能性が示唆され,EGFRを標的とした薬剤開発が老化誘導療法の開発につながる可能性が示唆された.
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