Focused DNA array (FDA)の臨床検体における治療効果との関連性の解析をおこなった。 平成15年度〜平成16年度に作製し、感度と精度の検証を行ったFDAを用いて、胃癌に対してTS-1療法を行った41症例、大腸癌に対して5-FU+アイソボリン療法を行った43症例を対象として、FDAにおける遺伝子発現と治療効果との関連性を解析した。 1)胃癌:治療効果に関連する遺伝子26個の絞り込みが可能であった。生存期間を予測するモデル式を作製し、validation setにおける生存期間の正診率は82%であった。FDAにより抽出された26遺伝子のうち、RT-PCRによるRNAレベルの発現検証では、12遺伝子に相関係数0.9以上という強い相関関係を認めた。この12遺伝子のみをターゲットとしたFDAを新たに作製し、13例のvalidation setにおいて生存期間の予測を行ったところ、74%の正診率が得られた。 2)大腸癌:治療効果に関連する遺伝子16個の絞り込みが可能であった。生存期間を予測するモデル式を作製し、validation setにおける生存期間の正診率は100%であった。FDAにより抽出された16遺伝子のうち、RT-PCRによるRNAレベルの発現検証では、5遺伝子に相関係数0.9以上という強い相関関係を認めた。この5遺伝子のみをターゲットとしたFDAを新たに作製し、25例のvalidation setにおいて生存期間の予測を行ったところ、94%の正診率が得られた。 以上により、高感度・高精度DNAマイクロアレイであるFocused DNA arrayは、消化器癌に対する抗癌剤治療の効果予測に有用であることが判明した。
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