研究概要 |
食道癌におけるE2-EPFの発現とその意義の研究を行い、以下の成果を認めた。 1、食道癌検体の採取 本研究に対し同意の得られた食道癌患者の摘出標本より、癌組織、非癌部食道正常組織を採取し、直ちに-80℃で保存した。また一部は凍結せずTotal RNAを抽出した。現在までに22症例が採取されている。 2、抗E2-EPF抗体の作製 E2-EPFの高次構造からエピトープとなり得る領域を選択してペプチド合成(SGTEASSTDPGAPG, KKHAGERDKKLAAC, CTIEGPEGTPYAGGの3種)し、キャリア蛋白質と結合させた。これをウサギに免疫し、ポリクローナル抗体を作製した。 3、E2-EPF蛋白レベルの検討 採取した検体を抽出後、作製した抗体を用いて各試料のE2-EPF量をイムノブロットにて分析した。現在患者検体で癌組織、非癌部食道正常組織のE2-EPF発現量の差などを検討している。また食道摘出標本のパラフィン包埋切片で抗E2-EPF抗体を用いて免疫組織染色を行った。現在染色条件の選定を行っている。 4、E2-EPF mRNAレベルの検討 15検体のmRNAレベルの検討からE2-EPF発現が食道癌で亢進していることを確認した。さらに正常組織との発現量の比をとることにより統計処理を行った結果、特に予後不良な再発群により多く発現していることが認められた。以上の結果を論文(Ishibashi Y, et al. Cancer Research 63 2003)として発表した。 5、siRNAの合成 E2-EPF遺伝子に対し、現在4種のsiRNAのカクテルを作成している。このカクテルを用いて細胞へ導入後24時間でE2-EPF発現レベルが25%以下になるように配列の選定を行っている。
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