研究課題/領域番号 |
15591452
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
黒川 剛 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (50291406)
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研究分担者 |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30162738)
野浪 敏明 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80189422)
小竹 克博 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50351101)
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キーワード | ミトコンドリア / 肝硬変 / 肝細胞癌 / CPT-1 / PPAR-α / CPT-1 |
研究概要 |
細胞のエネルギー産生にはミトコンドリアにおける脂肪酸のβ酸化が重要であるが、ミトコンドリアへの脂肪酸の輸送に関与する酵素であるcarnitine palmitoyltransferase-1(CPT-1)の遺伝子を制御しているのはperoxisome proliferator-activated receptor α(PPAR-α)であるPPAR-αは、ステロイド受容体スーパーファミリーに属する核内受容体で、肝に最も多く分布している。周知のとおり肝臓は生体内の代謝の中心臓器であり、PPAR-αが生体のホメオスターシスの維持に果たす役割は大きいと考えられる。実際にPPAR-αは肝細胞における脂質代謝経路の多くの酵素を転写レベルでの調節を行っていることが知られているが、近年脂質代謝のみならず糖代謝、アミノ酸代謝を含めた極めて多岐にわたる代謝調節を司っていることが明らかになってきている。一方、肝硬変患者ではさまざまな代謝異常が知れれており、この程度と生命予後には密接な関係があると推定される。また、癌細胞では解糖系の亢進など、正常肝細胞とは異なる代謝異常が存在していることが知られている。したがってエネルギー代謝系において硬変肝と肝細胞癌は異なる調節機構が働いていることが予想される。そこで、肝切除時に採取したそれぞれの肝組織を用いてCycline D1,PPAR-α,CPT-1のmRNAの定量とCycline D1の定量、CPT-1の活性測定を行ないこの点を明らかにする予定であるが、本年度の当科における肝癌手術症例を対象に研究計画書に記載したとおりの方法でインフォームドコンセントをとったうえで、肝硬変組織、正常肝組織、肝癌組織をそれぞれ15サンプル取得し保存している。RT-PCR法を行うのに必要なプライマーは今回あらたに作成した。Cycline D1の定量は特異的抗体を用いてWestern blot法により、CPT-1の活性測定は困難であるため3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素の活性を分光学的方法により測定を開始している。
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