1)Dynamic graciloplastyにおけるcontinenceと排泄能の改善 平成18年4月以降この手術を6症例に施行した。このうち直腸癌は2症例であり、他の4例は便失禁の患者に対する手術であった。直腸癌症例は排便機能の臨床的評価では良好であり、生理学的検査とdefecographyを利用した解剖学的検査でも良好な値を示した。同様の手術手技を利用した便失禁の4症例のうち2例は術後の排便機能は良好であり他の2例は現在covering stomaを有しており術後の評価はできていない。 2)排便機能の客観的評価の継続 平成18年4月以降に手術を受けた患者の肛門機能も客観的評価をこれまでに確立してきた方法で行ってきた。すなわち、直腸肛門部の内圧検査、直腸感覚、肛門粘膜電気刺激閾値、直腸コンプライアンスなどを指標としてその経時的変化を記録した。また、解剖学的検査もこれまでに確立してきたdefecographyを用いて行った。肛門管長、直腸肛門角、Pelvic floor descent、Perineal descentを指標として直腸肛門部の変化を解析した。 3)Dynamic graciloplastyによる会陰部新肛門と腹部人工肛門の比較 本年度も引き続き術前の患者に会陰部の肛門機能に障害を有する場合と腹部人工肛門を永久に有する場合とを想定して選択を試みる手法を検討した。具体的にはいわゆるrating scaleと呼べる効用値を測定する手法を用いて検討した。術前の患者においては形体を選択するか機能を選択するかについて面接によるアンケート調査を行った。
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