研究概要 |
(1)Col(V)経口寛容レシピエントにおけるT細胞亜分画の分析 Col(V)による経口寛容の機序解明のため、経口寛容群におけるT細胞亜分画の分析を行った。ラット同種左肺移植モデルを用いた。Col(V)を1回10μg、計8回、隔日の経口投与後、F344のallograftを移植されたWKYレシピエント(経口寛容群)、及び経口投与を受けずにF344のallograftを移植されたWKYレシピエント(コントロール群)において、脾臓内T細胞を分離し、FACSにて細胞表面のCD4,CD8の発現の変化を比較した。Nomal WKYの脾臓内T細胞においては、CD4/CD8は1.21±0.06(Mean±SE)であったのに対して、コントロール群では0.56±0.07と低下していた。一方、経口寛容群においては1.01±0.09と有意に上昇していた。このことより、Col(V)による経口寛容の誘導により、CD4+T細胞が誘導されている可能性が示唆された。各群におけるallograft肺の肺胞洗浄液(BAL)内のT細胞についてはサイトスピンにより得られた標本を使用し、CD4,CD8による免疫染色を行い測定、分析中である。 2)Adoptive transferモデルの作成 Col(V)による経口寛容の誘導には調節性T細胞の関与が考えられる。上述の如く、経口寛容群の脾臓内CD4/CD8が高くなっていることより、CD4+T細胞の関与が示唆された。T細胞のどの分画が経口寛容の誘導に関与しているかを調べるため、経口寛容群より分離したCD4+T細胞およびCD8+T細胞によるadoptive transferの実験モデルを作成中である。基礎実験において正常WKYより得られた脾臓内CD4+T細胞、CD8+T細胞を、FACSを使用しその純度を確認している。今後各群より得られたCD4+、CD8+T細胞を正常WKYの尾静脈より投与し、24時間後にF344からの肺移植を行い、経口寛容のadoptive transferが可能か検討していく予定である。
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